近年、渋谷駅周辺では大規模な再開発に伴い、新たな広場や歩行者空間など、多様な公共空間が生まれています。一方で、これらの空間をどのように活用し、人々にとって魅力的な場所として育てていくかについては、まだ十分に整理・検討されていない側面もあります。
当機構の前身団体であるシブヤ・スマートシティ推進機構では、DIG SHIBUYA 2025において公共空間の活用に関する調査研究に取り組みました。公共空間・都市デザイン分野で世界的な実績を持つ Gehl Architects、読売広告社、大学研究室等と連携し、渋谷における人々の滞留や移動、空間の使い方を分析してきました。(※1)
この取り組みを踏まえ、現在、PublicLife Labでは「渋谷らしい公共空間における体験のあり方」を考えるプロジェクトを実施しています。本記事では、その進捗についてご紹介します。
※1 参考: Telling Shibuya,Tokyo’s story through human-centered data
ステークホルダーへのヒアリングからスタート
本プロジェクトに先立ち、渋谷駅周辺で再開発やエリアマネジメントに取り組む事業者・関係団体へのヒアリングを実施しました。
各組織がどのような考えのもとでまちづくりに取り組んでいるのか、どのような課題認識を持っているのかを整理することで、渋谷の公共空間を考えるための土台づくりを進めました。
ヒアリングを通じて見えてきたのは、ハード整備だけでなく、人々の活動や交流を促し、継続的に空間を運営していく仕組みの重要性でした。
Gehl Architectsと渋谷を歩く「WalkShop」を実施
2026年3月には、Gehl ArchitectsのSophia Schuff氏、Leon Legeland氏を迎え、宮益坂、道玄坂、渋谷駅東口広場などを巡る街歩きを実施しました。
当日は、渋谷区職員から各エリアの再開発計画や現在の課題について説明を行いながら、今後大きく変化していく予定地を視察しました。
Gehl Architectsは、人々が公共空間でどのように過ごしているかに着目し、「人を中心としたまちづくり」を世界各地で実践してきました。今回の街歩きでも、空間の整備やデザインだけでなく、そこで人々がどのように過ごすことができるのかに着目しながら意見交換が行われました。

ステークホルダーと考える「渋谷らしい公共空間」
3月には、SHIBUYA QWSにて「渋谷パブリックライフ共創ワークショップ」を開催しました。
当日は、渋谷区、地域関係者、再開発事業者など約40名が参加し、Gehl Architectsから海外の先進事例や公共空間活性化に関する考え方が共有されました。
その後、
- 「渋谷らしい体験とは何か」
- 「どのようなアクティビティやイベントが渋谷で生まれるとよいか」
- 「アイデアを実現するために誰を巻き込む必要があるか」
という3つのテーマについてグループワークを実施しました。
参加者それぞれが異なる立場から意見を持ち寄り、渋谷らしい公共空間のあり方や、そこで生まれる活動・交流について意見を交わしました。

渋谷駅周辺の活性化について、Gehlから提言
7月には、渋谷区役所にて、「渋谷パブリックライフ共創ワークショップ報告会」を渋谷区と共催で開催し、地域関係者や再開発事業者など100名以上の方にご参加いただきました。
この報告会では、これまでの街歩きやワークショップ等で得られた意見を踏まえ、GehlArchitectsから渋谷駅周辺の公共空間の利活用に関する提言が共有されました。
提言では、エリアごとの特性や魅力を生かしながら、人々が繰り返し訪れたくなる体験や活動を創出し、それらを持続的に展開していくことの重要性が示され、参加者間で理解を深める機会となりました。

調査研究から実装へ
Public Life Lab では、こうした調査や提言を踏まえて、観光やまちづくりの戦略や政策立案を区と協業しながら検討していきます。
引き続き、国内外の先進事例や専門的な知見をもとに、渋谷に必要な視点や条件を整理するとともに、地域の関係者との勉強会や実証事業を通じて、公共空間の活性化・活用に向けた仕組みを検討していく必要があると考えています。また、その成果を区・都・国との協議や、来街者対策、制度設計につなげ、渋谷ならではの「人を中心とした公共空間」を実現していきたいと考えています。
写真提供:読売広告社+Gehl Architects

